この前、厚生労働省から2016年の出生率が発表されたので、その数値を使って将来の人口を概算予測してみた。
その結果、500年後には日本の人口100万人という驚愕の推算結果が出た。100万人といえば、岡山市の人口より少ない!ちなみに、出生率1.44がこのまま続くという前提のもとでの推算なので、現実とは異なる確率が高い(私自身、予測が外れてほしいと強くのぞんでいる)が、出生率1.44が続くということはこれほどまでに深刻なことなのかと痛感。
今回、少子化とこの国の将来のことを考えるきっかけになればと思い、敢えて概算を出してみた。
出生率1.44とは
出生率(合計特殊出生率)は、ひとりの女性が生涯に産む子供の数で、厚生労働省が人口動態統計の中で毎年5月か6月ごろに発表されている。2016年の値は1.44で、2005年の1.26からわずかに上昇傾向。2015年は21年ぶりの高水準となる1.46であった。
ちなみに、
第一次ベビーブームの時の出生率:4.3
第二次ベビーブームの時の出生率:2.1
で、その時と比べればまだまだ低い。第一次ベビーブーム、第二次ベビーブームともに、日本の人口も急激に増え、経済成長も著しかった時代である。
そもそも、出生率が2を割り込んでいる段階で、いずれは人口は減ってくるものである(移民とかの社会増がなければ)。最近まで出生率の低下が目立った人口減にならなかったのは、医療や生活環境の向上により、高齢者の寿命が延びたため、高齢者の死亡による自然人口減が抑えられていたからである。
高齢者の寿命が延びるのは大変喜ばしいことだが、出生率が低下するのはほんとうに何とかしなければならない。
出生率の低下が、どれくらい人口減に影響を及ぼすか
平均出産年齢35歳として、このまま出生率が1.44のままだったら、35年後には、生まれてくる子供の数は、1.44/2=0.72 よって今の72% 97万7千×0.72=70万3千人になる。
ざっくりいうと、1世代経るごとに、3割減るということ。35年ごとに0.72倍になったとして、3000年後には、日本の人口がどれくらい変化するかエクセルで推算してみた。結果、
今から3010年後の西暦5026年、日本の人口は、6.8×10-5人。えっ、1を切って0.000068人!?
エクセルをざざっとスライドさせて戻してみると、1995年後の西暦4011年に、日本の人口が1を切るという推算結果であった。これは結構衝撃。。。ちなみにグラフにしてみるともっと衝撃であった。
西暦2500年までの減り方が急すぎてびっくりしました。この部分をちょっと拡大して見やすくしたのが下のグラフです。
仮定が多い概算のグラフなので、間違ったかなと思ったが、 国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(H24.1推計)」1)で算定した西暦2110年の日本の将来推計人口4,286万人に対し、今回の推算結果は西暦2121年で4,738万人とあまり変わらない2)ので、現時点ではまったくズレた計算値でもないのかもしれない。
西暦2,121年といえば、今から100年後、私はこの世にはいないだろうが、子供たちはひょっとしたら生きているかもしれないし、(将来の)孫も元気で活躍している時代である。そんな近い将来に日本の人口が今のおよそ3分の1になっているなんて、なかなか想像しがたい。
さらに、200年後には1,800万人を切り、300年後には660万人、500年後には100万人と指数関数的に減少していく。
日本全体で100万人という状況って、、、その人数でどうやって今まで作ってきたものを維持するのだろう?道路や公共交通機関、発電所、空港、等々、100万人で作りすぎたインフラを維持するのは至難の業である。維持できなければ、いたるところ廃墟だらけになり、日常生活に影響が出てくるだろう。
そうなってしまわないように、少子化を止め、日本の人口がV字回復する施策が必要である。具体的には、子供手当の増額(所得に関係なく大人になるまで1千万円以上の給付。2子目、3子目はさらに増額)や国公立大学の無償化など、いかがだろうか。
少子化が止まらないなら今まで作ってきたものを片づけなければいけないが、新しいものを作るより片づけるほうが、よっぽど難しい。将来の子供たちのために、ゴミや廃墟にあふれる日本にしてはならない。
1)「100年後の2,110年に4,286万人程度になるものと推計される」とのこと。(出典:内閣府HP「人口・経済・地域社会の将来像」)
2)内閣府の試算は2010年時点。当時の出生率は1.39。今回の試算では、2016年の出生率1.44と当時よりも高めなため、人口減が緩めになっている。
ではどうすれば少子化を止められるのか。立場立場によっていろいろな意見があり、難しい問題ではあるが、またの機会に私見を述べたいと思う。