15年ぶりにディーラーめぐりをして、今更ながらに日本車の高騰ぶりを実感している。あまりにも高いので、家族の分を含めた車の台数を見直そうと思っている。また、以前はコストパフォーマンスの差で購入を見送っていた、外車も選択肢のひとつになってきている状況。
今乗っている車は、15年前に新車で買った四駆SUVタイプの日本車。
15年も乗っているのだが、走行距離が5万キロ少々でエンジンが絶好調なのと、愛着があるのでまだまだ乗ろうと思っていた。
しかし最近、エンジンが好調なのに反して、エアコンやオーディオなどの電装部品が故障してきた。また、外装のプラスチック類が朽ちてきたり、バンパーの塗装がはげてきたこともあって、やむなく新車への乗換えを検討することにした。
気に入った車を長く乗るという選択
私は気に入った車を、長い年数乗る主義で、そのほうがお財布にも環境にもやさしいと思っている。
いくら今の車の燃費が良くなってきたとはいえ、日常生活の足代わり(子供やお年寄りの送迎や買物用途)で年に3,000キロ程度しか乗らない状況では、節約できるガソリン代は限られており、古い車を長く乗ったほうが断然経済的である。たとえメンテナンス費用や税金が安くなったとしても、新車購入にかかる費用が増えてしまっては意味がないのである。
また、買い替えによる廃車やリサイクルに関わる環境負荷(排出されるCO2)、新車製造に対する環境負荷などを考慮すると、年に3,000キロ程度しか乗らない状況では、ハイブリッドやEV車に買い替えるよりも今のガソリン車を乗り続けた方がよっぽどエコである。
なので、13年以上経過の古い車の自動車税が、環境性能云々で一律増税になるというのはどうも納得がいかないが、私のケースでは増税分を差し引きしても旧車に乗る方が経済的だし、環境にも優しいという結論に達した。
一応ディーラーに修理のお願いをしてみたが、保守部品がない
ということで、15年乗っている今の車にまだまだ乗ろうと思い、ディーラーに修理を依頼してみたところ、
担当者の第一声が、「え、まだ乗るんですか?」
思わず担当者の本音が出たのだろうが、オイオイちょっとは客に気を遣えよ~(笑)。
メカニックに調べてもらったが、15年前の車の保守部品が無く、中古品も入手困難とのこと。仕方なく新車に買い換えることに。
見積もりの金額に驚愕!?
新車の見積もりを出してもらったところ、私の乗っているSUV車の後継車が250万円→350万円と大幅に値上がりしていてビックリ!!!
SUV車とほぼ同時期に購入した妻のコンパクトカーの後継車の見積もりも出してもらったら、150万円→230万円と同じように値上がりしていた。あまりにも高かったので、これを機に2台持ちをやめようかと思っているところだ。
公共交通機関の発達していない地方なので、車が1台だとかなり不便になりそうだが、、、
もしカーシェアリングが近くにあれば、2台とも車を手放しているだろう(笑)
自動車の価格が高くなった原因
ではなぜこれほどまでに自動車の価格が高くなったのだろうか?
いくつかの考えられる理由をあげておく。
為替(円安)の影響
ひとつに円安の影響がある。
円安は海外から原料や自動車部品を調達する際に不利になる。
例えば、15年前の2000.1.1は1ドル102円だったが、現在(2015.12.27:記事執筆時点)は1ドル120円と円安になっている。これは、2000年には1ドル102円で買えていた海外製の自動車部品が、今は120円出さなければ買えないということである。
(補足:2023.9.27時点で円安は更に進行し、1ドル150円目前にまで迫っている)
最近の国産自動車は家電同様に海外製部品や海外からの輸入材料の使用比率が高まっている。また、たとえ国内部品メーカーの部品を購入したとしても、その国内部品メーカーは原料の多くを海外の材料メーカーから調達しているため、円安での材料代高騰の影響が部品価格の値上がりとして反映される。
原料・部品価格の高騰
円安と並んで、世界的に原料や部品の価格が値上がり(物価上昇)していることも、自動車価格の高騰に影響を与えている。
日本は人口減少、景気減退の中、あまり経済成長してないが、世界的には経済成長しているので、原料や部品の価格は年々値上がりしている。
例えば、2000年から2014年までの15年間の年平均インフレ率は、日本は-0.03%であったが、米国が2.38%、中国が2.31%であった1)。このインフレ率、15年間に直すと、日本はほぼ物価は変わらなかったのに対し、中国や米国は1.4倍も物価が上昇していることになる。
安全装備と燃費向上、快適装備など、価値の向上
円安や物価上昇に加えて、最近の車は「安全装備」や「燃費向上」にもお金がかかっている。
15年前の車と比べると安全装備は随分進化していると感じるだろう。カメラやセンサー、自動ブレーキなどの運転支援装置やLEDヘッドライト、エアバックなどの安全装備類は、15年前とは比べ物にならないくらい充実し、進化している。
また、燃費についても、各社動力系の燃費向上(ハイブリッドエンジン車、クリーンディーゼル車、電気自動車、燃料電池車)だけでなく、アイドリングストップによるアイドリングロス低減やトランスミッションの効率化(CVTやATの高効率化)、車両の強度を維持した上での軽量化など、技術開発にも相当お金がかかっているのは否めない。
また、オートクルーズやカーナビなど、快適装備も向上している。このため、後継車といっても昔の車のワンランク上の装備になっていて、値上がり分以上に、車のバリューも向上しているとみていいだろう。
車の価格は高騰するが、日本人の年収は伸び悩んでいる
このように、いろいろな要因で自動車が値上がりしてきた。
自動車が値上がりしても、私たちの収入がそれ以上に増えていれば良いのだが、
実際はその逆で、日本人の年収が伸び悩んでいる。
日本人の年収(中央値)は、390万円(2000年)から350万円(2014年)へと1割近くも低下している2)。社会保障費や税金の負担が増え、可処分所得はそれ以上に減っている人も多いのではないだろうか。
そんな状況なので、余計に車の値段を高く感じてしまうのである。