先月の「使い捨てマスクの洗濯・再利用」に関する記事に対し、非常に多くの方から貴重なご意見、ご感想をいただきました。この場をお借りして改めてお礼申し上げます。
そのなかで、いくつかの質問を受けましたので、回答させていただきます。
マスクの消毒方法について
熱湯や煮沸消毒はできますか?
サージカルマスクの多くは熱湯消毒できません。
マスクに使われている不織布フィルターの材質は、PP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)といったプラスチックが使われています。熱で変形したり変質するため、熱湯や煮沸消毒はおすすめできません。
繊維が熱でぐにゃぐにゃに柔らかくなった状態で茹でたりすると、容易に変形し、フィルターの形状を保たなくなります。
電子レンジでの消毒はできますか?
熱湯や煮沸消毒と同様、おすすめできません。
熱によって繊維が変質するため、あまりおすすめできませんが、熱湯よりは変質が抑えられるかもしれません。なお、ノーズフィット部分の針金が入ったままでマスクを電子レンジに入れないでください。火花が飛び、発火するおそれがあり危険です。
アルコールが入手できません。他の消毒液はありますか。
次亜塩素酸ナトリウムが比較的入手容易です。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)での検証例は現時点ではありませんが、類似のウイルスであるSARSコロナウイルス(SARS-CoV)が次亜塩素酸ナトリウム(次亜塩素酸ソーダ)を成分とする漂白剤が、消毒液として有効との報告があります。
市販品では塩素系のキッチンブリーチが有名です。原液は塩素濃度が高い(1~6%)ため、0.05%~0.1%となるよう水で薄めて使用します。
なかでも、マスクの静電フィルターの性能低下を極力抑えるため、界面活性剤が使われていないものをおすすめします。例えば、ピューラックス(商品名)、ChuChuつけるだけ(同)のような野菜や果物の除菌に使えるタイプのものがよいでしょう。
あと、消毒(つけ置き)後は、水でよく洗い流して次亜塩素酸ナトリウムが残らないようにしましょう。
なお、次亜塩素酸ナトリウム水溶液はアルカリ性で皮膚への刺激が強かったり、金属の腐食性が強かったりするので、ゴム手袋などをするなど取り扱いに注意が必要1)です。
1)【コロナウイルス対策】消毒用アルコールがない場合の消毒・除菌について(飯田市保健センター)